公開オークション

LOT 058

今井 俊満

羽衣 (Wall Painting)

JPY 6,000,000 - 9,000,000
HKD 298,100 - 447,100
USD 38,000 - 57,000
技法 油彩、パネル
サイン 右下にサイン、年代
額 未装
サイズ 4パネル / 4 panels:150.0×560.0 cm (各パネル / each panel :150.0×140.0 cm)
制作年 1969
文献 Gian Carlo Calza, "IMAÏ", Electa, Milano, 1998, p. 190

HIGHLIGHT

横幅5.6メートルにおよぶ圧巻のスケールを誇る本作「羽衣」(1969年)は、日本とフランスの前衛美術を結び、国際的に活躍した今井俊満による、力強いエネルギーと緻密な構成が融合した大作である。
1928年に京都で生まれた今井は、東京藝術大学で油彩画を学んだ後、1952年に単身パリへ渡り、評論家ミシェル・タピエらとの出会いを経て抽象絵画の道を開拓した。1950年代のフランスで興った前衛運動「アンフォルメル(非定型の「熱い抽象」)」を日本へ紹介して大きな反響を巻き起こした中心人物の一人である。また、具体美術協会をタピエに紹介し、日本の前衛美術が国際的に知られる契機をつくるなど、日仏の美術界を結ぶ重要な役割を果たした。1960年には第30回ヴェネチア・ビエンナーレに出品し、国際的にも高い評価を得た。
1960年代後半に入ると、今井の表現は、激しい筆致と重厚なマチエールを特徴とするアンフォルメルの表現から、光、自然、行為といった要素を融合させた独自の造形世界へと深化していく。今井の絵画は、奔放で本能的な表現の中に緻密な構成が存在する点に特徴があり、激しく揺れ動く色彩やマチエールを巧みに統制し、衝動的な表現と造形的な秩序との絶妙な均衡を実現させている。
本作は、こうした今井の表現が成熟を迎えた1969年に制作された、4枚のパネルからなる壮大な作品である。黒を基調とした画面には、青、白、赤、黄などの鮮やかな色彩が複雑に交錯し、幾重にも重ねられた絵具が起伏に富んだ重厚なマチエールを形成している。画面全体を横断するように展開する力強い筆致と、渦を巻くような色彩の流れは、自然界の根源的なエネルギーを想起させる。一見すると激しく無秩序にも見える表現は、画面全体を俯瞰すると巧みに統制されており、幅5.6メートルに及ぶ大画面の中に壮大な造形的秩序が生み出されている。
また本作は、1998年にイタリアのElecta社から刊行された作品集『IMAÏ』190頁に掲載され、かつて日本開発銀行に飾られていた来歴を持つ。4枚のパネルが一体となって展開する壮大な画面には、1960年代後半における今井芸術の成熟と、その卓越した構成力、圧倒的な表現力を伝える大作である。

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