東西ニューアート 設立記念公開オークション

LOT 020

キム・ファンギ

無題

JPY 20,000,000 - 30,000,000
HKD 1,054,900 - 1,582,300
USD 135,600 - 203,300
技法 油彩、キャンバス
サイン 裏面にサイン、年代 「Whanki 70」
額装
サイズ 61.0×46.0 cm
制作年 1970
来歴 元所有者が作家から直接入手 
Meshulam & Jahudit Riklis コレクション、ニューヨーク
Estate of Jahudit Riklis、エルサレム/ニューヨーク
アブラハム・ハビリオコレクション、エルサレム 
フィリップス・ドゥ・ピュリー&カンパニー、ロンドン、2009年2月12日 lot. 38 
サザビーズ ニューヨーク、2011年5月11日、lot.209

HIGHLIGHT

近現代韓国美術を代表する画家の一人、金煥基(キム・ファンギ)による貴重な後期70年代の作品である。本作が描かれた1970年はファンギにとって晩年にあたり、芸術的成熟の集大成の時期にあたる。

この時期、ファンギの作風は大きく変化する。造形は単純化に向かって推し進められ、“ファンギブルー”と評される青を基調とした作品を制作した。

ファンギは後半生をパリ(1956-1958)、ソウル(1958-1963)、そして更なる自己変革を求めて晩年10年間をニューヨークに過ごした。

ニューヨーク滞在時代に描かれた日記でファンギはこう述べている。
「…私はこれから描く作品を気に入っている。単純な構図、名状しがたい青の色…私だけが私の世界を創り出すことができる。…」

さきに述べたようにニューヨーク滞在時代においてファンギの作品は、ひたすらに斑点を穿つ、禁欲的な作品へと収斂していった。縁取りされた四角にひたすらに埋め尽くされた本作の画面。しかしそれはランダムに描かれたのではなく、周到な下準備のもとでひとつひとつ、配置されていることがわかる。その斑点は一見単調な反復であるが、リズミカルで宇宙的ともいえる広やかで豊かな空間が展開されている。また、画面上側に描かれた下向きの三角形の頂点は、その下の三角形の窪みの中心に焦点があてられており、画面の一体感を生み出している。 

静寂を湛えつつも輝くような存在感を放つ本作は、ファンギの集大成的な位置づけをもつ作品であり、また同時に、韓国抽象芸術を代表する作品の一つであると言える。

キム・ファンギは、「韓国抽象美術の父」と呼ばれている大家である。1930年代に日本に留学し、藤田嗣治、東郷青児にも師事。1937年には韓国に戻り、すぐに母国で抽象絵画の先駆者としての地位を確立した。大家となった後も絵画の探求を続け、1950年代後半をパリで、1960年代前半から亡くなるまでをニューヨークで過ごした。韓国抽象絵画の先駆者であり、その名と業績は韓国美術史上に燦然と輝いている。

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