東西ニューアート 設立記念公開オークション

LOT 107

アントニ・クラーベ

王様

JPY 3,000,000 - 5,000,000
HKD 158,200 - 263,700
USD 20,300 - 33,900
技法 油彩、キャンバス
サイン 右下にサイン、年代 裏面にサイン、タイトル、年代 裏面木枠にシール「galerie tamenaga」
額装
サイズ 105.0×75.0 cm
制作年 1957
鑑定書 アントニ・クラーベ・アーカイブ発行の鑑定書付(作品の引き渡し後にお届けとなる場合がございます。)
文献 Pierre Seghers,"Clavé", Tudor Publishing Company, New York, 1972, p.83, No.67
来歴 エドガー・アコスタ・コレクション、ロサンゼルス

HIGHLIGHT

本作の作者アントニ・クラーベは、1913年にスペイン・バルセロナに生まれた。13歳から働き始める一方でバルセロナ美術学校夜間部に通い、基礎的な絵画技術を学びながら素材の扱いに親しむ。1932年、バルセロナのポスターコンクールで受賞したことをきっかけに、当時の仕事であったペンキ職人の仕事を辞め、広告や装飾の仕事で生計を立てるようになる。この時期には、様々な素材を用いたコラージュなど前衛的な手法にも挑戦した。

1936年に勃発したスペイン内戦では、人民戦線側の兵士として従軍し、戦時中は友人とプロパガンダポスターの制作に携わる。1939年の敗北を機にフランスへ亡命し、戦後はイラストレーターや舞台装置の仕事を通じて製作活動を続けた。この時期には、ボナール、レンブラント、ゴヤ、ルオーといった画家たちに惹かれており、特に亡命先のパリで紹介された同郷のピカソに強い影響を受けた。また、パリやロンドンで舞台装飾や衣装デザインといった仕事を行い、こういった仕事はクラーベにインスピレーションを与え、王様、女王様、中世の人物、戦士などの新しい主題を生み出すきっかけとなった。

本作は、「王様」シリーズのひとつである。1950年代後半から製作されたこのシリーズは、後に彼の認知度の向上に大きく貢献した主題でもある。王様の象徴である王冠を被り、パイプをくわえた横顔という構図は多くの同シリーズに共通してみられ、一見、王笏を手にしているようにも見えるが、同時期に描かれた他の「王様」は花を手にしていることが多い。

本作も、赤と緑の色彩から鮮やかな花をもっていると考えられる。王様という権威ある人物像でありながら、優雅で遊び心を持った内面も表れている作品である。同時に、幾何学的に構成された顔や背景からはキュビズムの要素がうかがえ、コラージュのような要素など、クラーベらしい特徴が表れた一枚である。

国際的に名前が知られるようになったクラーベは来日も果たしており、日本でも数度展覧会を行っている。もちろん、ヨーロッパでも多数の展覧会や大規模な回顧展が開かれた。2005年にサントロペで逝去したが、ピカソ、ミロ、ダリらに続くスペイン美術の中心人物の一人に位置付けられている。

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